JabRefでは、標準読込フィルタが定義されているのとほとんど同じ方法で、あなた自身の読込フィルタを定義して使うことができます。読込フィルタは、1つ以上のJavaクラスとして定義され、入力ストリームからファイルの内容を解析し、BibTeX項目を生成します。つまり、簡単なJavaプログラミングで、あなたの気に入った文献ソースの読込フィルタを追加したり、既存読込フィルタの改善版を新しく登録したりすることができます。また、これによって、例えばSourceForgeなどから入手したコンパイル済みの自作読込フィルタを追加することもできます(「作品を共有する」を参照)。
自作読込フィルタは、標準読込フィルタよりも優先されます。こうして、JabRefの自動検出機構やコマンドライン機構によって既存の読込フィルタを上書きすることができます。自作読込フィルタは、名称順に整序されます。
コンパイルした自作読込フィルタ(上述のように1つ以上の.class
ファイル)とクラスファイルが、そのパッケージ構造と同じディレクトリ構造に配置されるようにしてください。新規自作読込フィルタを追加するには、オプション→自作読込の管理ダイアログボックスを開き、フォルダから追加を押してください。ファイル選択ウィンドウが開き、自作読込のクラスパス——つまり自作読込のパッケージ構造の最上位フォルダがあるディレクトリ——を選択することができます。二つめのファイル選択ウィンドウでは、自作読込クラスファイルを選択してください。これはImportFormat
から派生していなくてはなりません。新しいImportFormatサブクラスを選択を押すと、自作読込フィルタの一覧の中に新しい自作フィルタが表示されます。自作読込はすべて、JabRefウィンドウサブメニューのファイル→読み込み→自作読込とファイル→読み込んで追加→自作読込に表示されます。
クラスを別のディレクトリに移動した場合には、読込をいったん削除して追加し直さなくてはならないことに注意してください。既に存在する名称の自作読込を追加すると、既存の読込は置換されます。JabRefを再起動しないで既存の自作読込を更新することができることもありますが(読込がクラスパスにない場合)、自作読込を更新した時にはJabRefを再起動することを推奨します。zipファイルもしくはjarファイルに含まれる読込を登録することも可能です。単にzipファイルもしくはjarファイルを選択して、新規読込を表す項目(クラスファイル)を選択してください。
自作読込のビルドのしかたに関する用例と参考になるファイルについては、JabRefのダウンロードページをご覧ください。
以下の形のファイルを読み込みたいものと仮定しましょう。
1936;John Maynard Keynes;The General Theory of Employment, Interest and Money 2003;Boldrin & Levine;Case Against Intellectual Monopoly 2004;ROBERT HUNT AND JAMES BESSEN;The Software Patent Experiment
お好きなIDEやテキストエディタで、getFormatName()
・isRecognizedFormat
・importEntries()
の各メソッドを実装しているImportFormat
からの派生クラスを作成してください。下記はその用例です。
import java.io.*; import java.util.*; import net.sf.jabref.*; import net.sf.jabref.imports.ImportFormat; import net.sf.jabref.imports.ImportFormatReader; public class SimpleCsvImporter extends ImportFormat { public String getFormatName() { return "Simple CSV Importer"; } public boolean isRecognizedFormat(InputStream stream) throws IOException { return true; // this is discouraged except for demonstration purposes } public List importEntries(InputStream stream) throws IOException { ArrayList bibitems = new ArrayList(); BufferedReader in = new BufferedReader(ImportFormatReader.getReaderDefaultEncoding(stream)); String line = in.readLine(); while (line != null) { if (!"".equals(line.trim())) { String[] fields = line.split(";"); BibtexEntry be = new BibtexEntry(Util.createNeutralId()); be.setType(BibtexEntryType.getType("techreport")); be.setField("year", fields[0]); be.setField("author", fields[1]); be.setField("title", fields[2]); bibitems.add(be); line = in.readLine(); } } return bibitems; } }
用例は既定パッケージにあることに留意してください。これを/mypath/SimpleCsvImporter.java
に保存したものとしましょう。また、JabRef-2.0.jarがSimpleCsvImporter.java
と同じフォルダにあり、Javaがコマンドパス上にあるものとしましょう。これをJSDK 1.4を使ってコンパイルします。例えば、
javac -classpath JabRef-2.0.jar SimpleCsvImporter.javaとすると、
/mypath/SimpleCsvImporter.class
というファイルができあがるはずです。JabRefからオプション→自作読込の管理を開き、フォルダから追加ボタンを押してください。 /mypath
に移動し、選択...ボタンを押します。SimpleCsvImporter.class
を選択し、選択...を押してください。すると、この読込が自作読込一覧に「Simple CSV Importer」という名称で表示されるようになるので、閉じるを押すと、JabRefウィンドウサブメニューのファイル→読み込み→自作読込とファイル→読み込んで追加→自作読込に表示されます。
自作読込ファイルを使用すれば、ユーザー間で自作読込形式を共有することは、たいへん容易です。JabRefでサポートされていない書式の読込フィルタを書いたり、既存のフィルタを改善した場合、その成果をぜひSourceForge.netページに投稿してください。喜んで、投稿された読込ファイルのコレクションを配布したり、標準読込フィルタのセレクションに追加したりしたいと思います。